小野小町塚(喜多方市)概要: 小野小町塚は福島県喜多方市の旧高郷村にあります。僅かな土盛の上に小町の墓と伝わる宝篋印塔を中心に数基の石碑が周りを囲んでいます。案内板によると「 この宝篋印塔は、小野小町の墓と伝える。小町は平安時代、出羽郡司となった良実の娘で、歌に長じ六歌仙の1人にかぞえられ、歌風は情熱的で奔放、また、美人で有名である。年老いて出羽へ赴く途中、病のためにここで没したと伝えられている。会津でただ一ヶ所の小町塚で、新編会津風土記に記載されている。 高郷村教育委員会 小町の里づくり実行委員会 高郷村観光協会 」とあります。
当地に伝わる伝承によると、平安時代、ある晩秋の夕暮れ時に1人の老女が当地の農家の戸を叩き一晩の宿を懇願しました。季節柄野宿させる訳もいかず老女を中に入れ暖を採りながら身の上話を聞くと「京都で働いていたが、年も取ったので暇をいただき故郷である出羽国に帰郷するつもりだ。」と語りだしました。
家の主も京都で働いていた事があり、どうも見覚えがある為、「私は京都の小野家で3年間働いていたが、あなたは小野家の息女小町様に良く似ている。」と語ると、老女は「私が小町です。」と答えました。老女は気心が知れた事で暫く当地に滞在する事になりましたが、高齢と長旅の疲れからか、重い病に罹り、家の者や村人も必死の看病も実らずこの世を去りました。
遺体は引き取り手も居なかった為に当地に埋葬し墓碑が建立されたと伝えられています。小野小町塚は平成18年(2006)に「伝小野小町塚」として喜多方市指定史跡に指定されています。
現在の五輪塔は昭和53年(1978)に建替えられたもので、付近には小町が鏡として利用したと伝わる「小町化粧清水」があります。
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